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    診断の差











    統合失調症の診断不一致率が65%に及んだ

    掲載者による解説;


    不安障害を統合失調症と診断し、
    薬害が始まることは、意外と知られていない。
    手抜き診断の結果、難しい病気の診断を誤るのは想像できる。
    しかし、もっとも薬害に結びつきやすい病名でもある。
    改善しないと、次々と増量、追加処方がなされていく。
















    掲載者による解説;


    統合失調症への、もっともありふれて、誤った指導;「あなたは治りません」。
    これを宣告する医師の、なんと多いことか。

    不安障害に関する薬剤依存が、ベンゾ系にあることは、今や患者達の間でも常識である。
    薬効が消え、病態は遷延化する。

  • 原病については、当院での診断(当院診断)と、来院前に通院していた医療機関での診断(前医診断)が
    大きく食い違っていた。

     当院診断(n=72)は、
    不安障害が24例(34%)で最も多く、他の障害は、
    行動障害11、
    発達障害10、
    気分障害9、
    統合失調症と適応障害各8と、
    いずれも16%-11%の間にあった。

    これに対し、前医診断は、記憶の正確性に問題が残るものの、64例(88%)が比較的よく記憶していた。
    内訳は、
    統合失調症、不安障害、各17例(27%)、
    気分障害14(22%)の3者が多い反面、
    行動障害8、発達障害7が10%台、
    更に適応障害は1(2%)と少なかった。

     診断の一致・不一致を、前医診断から見た、不一致率という観点から見ると、
    診断が一致したのは半数(34例;53%)に過ぎなかった。
    この不一致は統合失調症では65%に及び、
    気分障害43%、
    不安障害30%であり、
    症例数が少ない発達障害、行動障害は、各43%、37%であった。

    図8

    前医診断と、治原性障害の分類、原因との関係を見ると、
    表に示すような項目間で優位(P<=.001)な相関を認めた。

    図9

     不一致率が最大の統合失調症では、前医診断17例中、当院診断も同一の例は6例に過ぎなかった。
    11例(65%)が異診で、
    当院診断では、
    不安障害5(解離性障害5、強迫性障害1)、
    適応障害2(青年前期の解離反応を伴う)、
    発達障害3(アスペルガー)、
    行動障害1(混合型人格障害)となっていた。

    異診例は、 全例薬剤因性(9例が過剰投薬、2例が不要投薬;いずれも抗精神病薬)の誘発障害
    (無気力を中心とする抑うつ状態)、
    及び/又は、原病悪化(行動化、陰性症状)に至っていた。

    一方、診断の一致した内4例では、 予後に対する希望を奪うような指導のために
    反治療感情(拒薬、治療拒否など)を強く植え付けられていた。

    なお、気分障害及び発達障害と診断されていた1例ずつを、当院では統合失調症と診断した。

     気分障害14例中10例(70%)において、
    漫然と長期にわたり投薬だけで必要な指導を与えない指導欠如と、
    原病悪化(抑うつ状態の遷延化、悪化)を認めた。

    更に、原病悪化と認定しがたい4例でも、
    行動化(自傷、OD、犯罪)など心理社会的悪影響を認めた。

    また、5例は、継続する多剤大量併用(多くは3〜4系統10種類以上)の影響も加わり、原病を悪化させていた。

     不安障害、適応障害18例中8例(44%;主として強迫性障害とPTSD)では、
    ベンゾジアゼピン系薬剤の漫然投与による薬物依存が認められ(内1例はメチルフェニデートにも依存)、
    4例には離脱も存在した。

    もともと人格に依存傾向を残存していたような例では、
    若年期からの長引く依存や指導欠如により、人格障害的な傾向が増強されていた。

     行動障害、発達障害では、
    上記のような例以外に多様な症例を認め、中心となる一定の傾向を同定することは難しかった。