(調査2)再評価の結果
再評価では、
対象群72例のうち57例(79%)を治原性障害、
15例(21%)を判定保留とした。
障害の仮分類は、ケースにより重複し、
39例に誘発障害、
45例に原病悪化、
52例に心理社会的悪影響を認めた。
重複を整理すると、
28例(39%)に誘発障害・原病悪化・心理社会的悪影響の全て、
17例(24%)に原病悪化と心理社会的悪影響、
5例(7%)に誘発障害のみ、
7例(10%)に心理社会的悪影響のみを認めた。
図6
なお、今回、以下のような例は判定保留とした。
1)最初の印象の誤り
2)観察期間が不十分なため、十分な経過情報を収集できなかった例
3)前医の治療による悪影響を認めるが、
それを主たる原因のひとつと判断するには、更に経過観察が必要な例
(本来の病態による変化、環境要因による変化などの関与の可能性を、現時点では評価しきれない)
4)前医の治療が主たる原因のひとつであることは明瞭だが、
医療側にそれ以上の対応を期待することが難しい例
(当院でも、同じような限界を有している)
治原性障害の原因は、重複を含め、
薬剤因性が35例(50%)、
指導因性が52例(72%)、
その他19例(27%)であった。
障害の分類とその原因との相関を見ると、誘発障害は、その大部分31例が薬剤因性であった。
重複を数えると、
F1が最多で21例(うち11例は、下記の物質誘発性精神障害を合併)、
内訳は薬剤依存20例、
薬剤離脱5例(4例は、両者を合併)であった。
中毒症状としての物質誘発性精神障害は21例に認められた。内訳は、
物質誘発性気分障害10、
物質誘発性不安障害7、
物質誘発性譫妄2、
物質誘発性精神病性障害2であった。
なお、原因についての詳細を見ると、先のグラフに示したように、薬剤因性の内訳は、
過剰な投薬20(28%)、
不必要な投薬15(20%)、
異診などによる誤投薬10(14%)であった
(異診とは、前医と当院の診断が異なることを意味する)。
指導因性の内訳は、
誤指導36(50%)がもっとも重要で、
以下、指導欠如32(43%)、
誤家族指導16(22%)などであった。
その他では、入院の影響14(19%)が目立った。
社会心理的悪影響としては、
セルフイメージの低下が半数の35例に認められた他、
家族内関係悪化25、
反治療意識の形成、
アクティングアウト、
社会的不利益、いずれも14などであった。
図7
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