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誤診の分析
誤診群の特性
転院に至った経緯
作られた障害
診断の差
診断の不一致原因
考察
考察
掲載者による要約(概要);
治療原性精神障害の可能性を
全通院者の17%に認めた。
転医例の4分の1、
精神科からの転医例の3分の1、
前医への不信から転医例の3分の2に及ぶ。
治原性障害可能性の半数は、
狭義の治原性障害(誘発障害)で、
その大半は薬剤使用の誤り、
とりわけ大量の抗精神病薬による
物質誘発性気分障害と
精神安定剤による
薬物依存であった。
正確な診断、
正確な薬剤処方
(単剤・最低量投与の原則の厳守)、
適切な指導など、
基本的な医療知識や治療姿勢の確立が、
医原性疾患の予防の中心となると考えられる。
掲載者による解説;
医師サイドの提案として、妥当な結論は網羅されている。
適量がどこにあるかは、
医師により見解を異にするであろう。
しかし、医師達に作られた病気の根本が、
繰り返しの訴えを無視した主治医の姿勢にあることを申し添えたい。
常識的な論理を述べても、軽く無視する、医師達の姿勢こそが、
患者サイドからの最も切実な問題と考える。
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考察
初回調査で、治療原性精神障害の可能性を全通院者の17%に認めた。
この数値には
@一医院の特殊性、限定性
A追跡調査の判定保留例
B広義の定義の採用
C対象を転医例に限定
などの多様なバイアスがかかっている。
しかし2度の調査でも、転医例の4人に1人(24%)に治原性障害が認められることから、
発生頻度はかなり高いと考えられる。
とりわけ、精神科からの転医例は、他科と比べると、この頻度が3人に1人以上(35%)と非常に高い。
これを、治療への不信感と言う観点から見ると、
前医への不信から転医した例では、その66%(3人に2人)に治原性障害を認める。
これらの例では、入院を経験した者の比率が高い(重症者が多い)にもかかわらず、
紹介状を持参する比率は低い(紹介状持参率は転医群54%、対象群16%)。
治原性障害の背景には、患者が不信をフランクに訴えたり、気軽にセカンドオピニオンを求めたりしにくい
環境の存在が示唆される。
治原性障害可能性の半数(54%)は、狭義の治原性障害(誘発障害)で、
その大半は薬剤使用の誤り、
とりわけ大量の抗精神病薬による物質誘発性気分障害と
精神安定剤による薬物依存であった。
一方、少数ではあるが、
漫然と投薬だけを継続し必要な指導を行っていない例(主として気分障害)や
予後に失望を与えるような指導による強圧的治療(統合失調症に多い)も重要であった。
これら指導上の問題は、
誘発障害を生じるのと全く同様の機序によって、
誘発障害以上に深刻な原病悪化や心理社会的悪影響を生み出していた。
以上、異診、誤投薬、誤指導が治原性障害の最大原因であることから、
正確な診断・薬剤処方(単剤・必要最低量の投与)の原則の厳守・適切な指導など、
基本的な医療知識や治療姿勢の確立が、医原性疾患の予防の中心となると考えられる。
中には、CP換算2000mg以上を投薬した例や、
正常な心理学的反応にリスペリドン8mgを使用した例など、
常識を逸したケースも存在する。
しかし、高い専門性が要求される専門医院や児童精神科からの転医例でも
治原性障害が、54%(二人に一人以上)に達することから、
医原性精神障害が、一部の特殊(悪質?)な医療機関のみによって生み出されるとは言えない。
むしろ、あらゆる医療機関が引き起こしうる構造的医療問題ととらえるべきである。
今回は一時資料のみの提示にとどめたが、詳細に個別例を検討すると、
単なる技術、知識、道徳の問題だけではなく、
以下のような最も単純な医療姿勢の問題が、この問題の解決にとりわけ重要という印象を受けた。
1)診療時間の不十分さ;
異診の背景に、初診だけでなく再診でも丹念に患者の訴えを聞く姿勢や、
状態像や生活実態を熟考して診断、投薬、指導する姿勢の欠如がある
2)患者と共有する治療仮説の貧困;
投薬の原則の無視の背景に、治療仮説を明示して患者と相互検討しながら信頼感形成を行うこと無く、
知りたい症状のみ聞き出して安易に投薬変更で、その場を切り抜ける診療姿勢を見る
3)患者の訴えの軽視;
適切な指導を実施できない背景に、患者本人の苦しみやニーズを深く理解し、
障害を否定性から肯定性に変化させる力動を生活の中に創り出していく医療的努力の欠如がある
今後、広義の医療問題を、治療原性障害に含むや否か、
それらのクライテリアをどう設定するかなど、多様な議論が必要となろう。
しかし、現時点では広義の治原性障害可能性を土台として総括的に考えてデータを収集し、
特別な他人の問題ではなく、誰にでも起こる自分の問題として、
多方面からオープンに検討していく必要がある。
このために、気軽で安全な情報公開と相互意見交換のシステムの形成が急務と思われる。
今後継続して、調査を広げていきたい
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