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抗精神病薬の利害に関して
根拠: 記事ごとに記載


抗精神病薬の利点と欠点に関するスレッド(図をクリックすると拡大表示)

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強迫性障害への適用 ( No.6 )
根拠: 青板374 笠ドクター

強迫スペクトラム障害に伴う、 トゥレット症候群(音声チック) ではないでしょうか。
SSRIに微量の抗精神病薬(セレネースや リスなら0.25mg、ジプなら1.25mg) が眠前に必要かもしれません
長期になれば少量でも危険が増える ( No.7 )
根拠: http://akatan.cool.ne.jp/major.htm

長期に抗精神病薬を服用していると、遅発性ジスキネジアが起こってきます。
これは、自分の意志とは関係なく口のまわりをもぐもぐ動かしたり、舌が動いたりするものです。
ひどくなってくると、舌を前に出したり、全身が上下や前後に小刻みに揺れていきます。
現在のところ、このジスキネジアへの特効薬はありません。

http://akatan.cool.ne.jp/major.htm#fukusayou
適正な量:CP換算値 ( No.8 )
根拠: http://www.comhbo.net/online/medicine/cp_keisan/index.html

一般的に、CP換算値が1000mg以上であれば大量投与と考えられています。
最近の脳科学のデータでは、ドパミンを60〜80%遮断する量が抗精神病薬の至適用量と考えられています。ドパミンを60〜80%遮断するのに必要な抗精神病薬のCP換算値はおよそ300mg〜600mgと推測されています。これは皆さんが思っておられるより少ない量ではないでしょうか。

また初発の統合失調症の場合は、この量よりさらに少なくCP換算値として200mg程度で十分だと考えられています。
もちろん再発で精神運動興奮が著しい時に、一時的にCP換算値で1000mg程度必要な時もありますが、それが長く続くことはありません。たとえ再発再燃時に一時的に至適用量を越えて使用しても、慢性期には至適用量に減薬することが大切です。

また最近のPETを用いた研究では、年齢が高くなると(50歳以上)、抗精神病薬への感受性が高くなり、ドパミンの遮断率が60〜80%の至適用量の範囲でも錐体外路症状などの副作用が現れることが分かってきました。年齢も考慮して抗精神病薬の投与量を検討しなければなりません。
知的障害患者の攻撃性に抗精神病薬は無効 ( No.9 )
根拠: 「予測して防ぐ抗精神病薬の身体副作用」 長嶺敬彦 P178

2008年のLancet誌1月5日号には、抗精神病薬は知的障害者における攻撃行動の軽減には
有効でないことが報告されています。

精神科では、知的障害患者が攻撃的あるいは衝動的行動をとると、
多くの場合に抗精神病薬を使用することがあります。

しかし、この慣習を支持するエビデンスは実はほとんどないというのです。

この研究では、攻撃的で挑戦的行動を取る患者86名を
ハロペリドール群、リスペリドン群、およびプラセボ群に無作為に分けました。

標準的なテストであるMOASによる4週間後の攻撃性の変化を測定しました。
するとハロペリドールおよびリスペリドンは、ともにベースライン時からの攻撃性の減少が認められましたが、
プラセボも同様でした。

実際のところ、プラセボによる減少幅が一番大きく、
抗精神病薬より有効であるという結論だったのです。
抗精神病薬は作用よりも副作用で大きな差がある ( No.10 )
根拠: 「予測して防ぐ抗精神病薬の身体副作用」 長嶺敬彦 P60,61

親記事にある、グラフ参照(抗精神病薬の効果と副作用)

それでは、抗精神病薬をメタアナリシスした結果をみてみましょう。
抗精神病薬の効果を1〜4の4段階で表示し、数字の大きくなるほど効果が高いことを示しています。
効果に関しては、すべて2以上で、いずれの抗精神病薬も効果があります。

しかし、副作用のプロフィールは、抗精神病薬の種類で明らかに異なります。
体重増加などの代謝の問題は、クロザピン、オランザピンにリスクが高く、
錐体外路症状は定型抗精神病薬が一番リスクが高いのです。
高プロラクチン血症は、リスペリドンと定型抗精神病薬でリスクが高いことがわかります。
メタアナリシスによると、効果より副作用の点で抗精神病薬の間に大きな差が出ました。

2008年末には、メタアナリシスのさらに詳しい結果が出ました。
陽性症状ならびに陰性症状に対する効果で、定型抗精神病薬より効果が高かった非定型精神病薬は、
アミスルピリド(本邦未発売)、クロザピン、オランザピン、リスペリドンの4剤であることが分かったのです。
これらの4剤以外の非定型精神病薬は、定型薬と同等の効果であると解析されました。

この結果、必ずしもすべての非定型薬が定型薬に対して、優位性を示しているとはいえないことが分かったのです。
以上の結果から、非定型抗精神病薬というグループを均一に考えてはならないということが言えるでしょう。

ただし、メタアナリシスのデータも万能ではありません。
統計科学的なエビデンスはありますが、目の前の患者さんが統計学的なエビデンスと同じ反応をするとは限りません。

*メタアナリシス・・・メタ分析とも呼ばれる。
過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを
収穫・統合し、統計的方法を用いて解析する手法で、より精度の高い成果を得ることができる。



CP換算値と実際の有効用量とは違う ( No.11 )
根拠: 毒舌セカンドオピニオン

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/risupada-rutaijipurekisa.htm
毒舌セカンドオピニオン 薬箱 抗精神病薬 ≪リスパダール対ジプレキサ≫


臨床的にはR3mgはZ12.5mgと同等と感じるので(中略)

実際は、Z20mg=R5mgと考えられる。


http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/gure-puhuru-tu.htm
A非定型薬の有効用量の比較データについて。

リスパダール(2.4mg/日)とジプレキサ(11.7mg/日)及びセロクエル(506mg/日)の効果が
ほぼ同等であったという。
これは味酒での僕のデータと一致している。

適応外使用が多い ( No.12 )
根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P3〜P4

先進国において向精神薬に曝露される人々は、非定型抗精神病薬やSSRIが
登場した1990年代から急増しています。

この傾向は小児を含むすべての年齢層に認められます。
抗精神病薬は適応外使用が増加し、成人では感情障害や認知症の問題行動の治療に
青年・小児においては感情障害、注意欠陥、多動性障害、素行障害に対して処方されています。

適応外使用では、抗精神病薬の有益性と有害性の評価が行われていません。
特に成長期である小児や青年に対しての効果と副作用を早急に検討すべきです。

至適最小用量での治療 ( No.13 )
根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P48

◆効果は一定の至適用量が存在する

抗精神病薬は量を増やせば増やすほど効果が上がるのでしょうか?

最近の用量反応関係の論文をみるとオランザピン(ジプレキサ)の用量固定試験では、

10mg、20mg、40mgで、効果に差がありませんでした。

アリピプラゾール(エビリファイ)の用量に関するメタアナリシスでは、10mgで最大の効果があり、

20mg以上ではさらなる効果は認めませんでした。

初発の統合失調症患者さんに対するクエチアピン(セロクエル)の効果を200mgと400mgで

ランダム化して比較試験を行ったところ両群に差を認めませんでした。

もちろんこれらのデータは個々の患者さんでの至適用量を示しているわけではありませんが、

統計をとれば抗精神病薬は、「増やせば増やすほど効果があるということではない。」と言えそうです。

抗精神病薬の効果に関しては、用量反応関係が直線ではなく、至適範囲があると言えます。
維持期のD2受容体占拠率は急性期より低い ( No.14 )
根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P50

統合失調症の維持期での至適D2受容体遮断率はわかっていません。
7名の維持期の統合失調症患者さんを対象に、PETでD2受容体占拠率と転帰をみた研究をみてみましょう。

リスペリドンの持効性注射剤を投与し、4週間後の黒質線状体でのD2受容体占拠率は、56%でしたが、
1年間の観察での再発は認めなかったと言います。

このことから、急性期に効果を示すには、65%以上のD2受容体占拠率が必要ですが、
維持期はそれより少ないD2受容体遮断で再発予防ができる可能性が示唆されます。

しかし、断薬すれば、かなりの確率で再発します。
統合失調症らしくなる処方 ( No.15 )
根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P94〜95

まったく脳内の神経伝達物質の異常を認めない健常者に抗精神病薬を投与し続けたらどうなるかです。

ドパミン遮断で元気がなくなり、活動性の低下が起こるでしょう。
過鎮静になり起き上がることができない人が出るかもしれません。
ドパミンが低下すればするほど、考えることすら億劫になり、ついには思考が停止するでしょう。
思考が繋がらないため、周りの人に理解できない言動が現われるかもしれません。

活動性の低下、行動の制止、思考抑制、理解不能な言動、
これらの疾患をみたらどういう疾患を浮かべますか?
おそらく統合失調症でしょう。

人によっては上記の症状が出揃う危険性が十分考えられます。
抗精神病薬の投与で疾患が作られる可能性です。
統合失調症では中脳辺縁系のドパミンの過活動が推測されているので
抗精神病薬の投与はそのバランスの崩れを回復し、症状を安定させます。
しかし、ドパミンの過剰が認められない人に、精神症状があるからといって
抗精神病薬を投与すると精神疾患を惹起する可能性があるのです。

抗精神病薬が有効であるのは、ドパミン過剰による妄想の連鎖です。
脳内の病態を臨床症状から推測することが大切です。

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