副作用情報利用に関して 2003/4/13



このガイドラインを特に掲げるのは、以下の理由(註は星和書店「初回エピソード精神病」)によります、

1)抗精神病薬に悪性症候群と呼ばれる死亡事故を含む副作用が稀にある
註:筋強剛、高体温、自律神経障害、意識レベルの変動に特徴付けられる
このような症状での増量は危険であり、1カ月くらいで死亡に至る例があります。(この一文は地上の旅人による補足)
2)抗精神病薬に錐体外路障害(註参照)というQOL(生活の質)低下をもたらす副作用が頻繁にあり、病気の症状とも重なる為分別が難しい
註1:パーキンソン症候群:運動減退、筋強剛、振戦(手指のふるえ)を主症状とする
註2:急性ジストニア:主に首の筋肉が持続的に収縮する不随意運動で異常な姿勢の原因となる
註3:ジスキネジア:口や顔面に多発する異常不随意運動
註4:アカシジア:身体のあちこちを動かさずにはいられない不快な感覚
3)錐体外路障害の予防措置として抗パーキンソン薬の投与が行われるが、自律神経系の副作用がある
註1:パーキンソン症候群の対処の第一選択肢は非定型精神病薬の適用であり、それが出来ない場合に減量もしくは抗コリン薬を使うべき
註2:末梢神経の副作用に口渇、かすみ目、便秘、頻脈、排尿困難、認知機能障害などがある
註3:中枢神経の副作用に熱射病、低体温、記憶障害、認知障害、錯乱、せん妄、傾眠、幻覚などがある
4)上記の副作用により服薬の合意が失われることは、1年以内の再発危険度を服薬継続時の20%前後から70%以上に押し上げるため

副作用情報の最も詳細な記述は添付書類と呼ばれるものであり、以下のページで検索できます。
ただし、この情報は医薬品会社の責任を医師や薬剤師と分担する意義を持つものですから、医師との会話の上で利用すべきものです。
特に「禁忌事項」にあたるような肝臓や腎臓の病気が無いかぎり、心配しすぎは無効です。

医薬品情報提供システム


急性期を過ぎると、意欲減退などの鎮静、性機能障害、体重増加も副作用としてQOLを低下させます。
医師から軽視されがちなこれらの副作用も、本人の価値観によっては深刻なものであり、服薬合意を失わせます。

長期の服薬継続がQOL維持に望ましいこの病気にあって、減薬や副作用軽減は切実な望みです。
ましてや、急性期に水薬などの不合意の服薬があれば、なおさら説得は難しいでしょうが、あくまでも本人の協力が
最終的には必要になるものと考えます。理想論だけでは全ての場合に対処できませんが、より良いQOLの確保、
より希望のある未来のためにこのページを改善していきたく思います。

上記に関する支持するデータも反対のデータも出てきましょうが、
無用な争いを避けるために、質的に上記の範囲内の議論やデータ紹介は反復を
避けて欲しいと考えております

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