生活の質の向上を考えて ( No.1 ) |
- 根拠: 「統合失調症は、どこまでわかったか」 菊山裕貴 みんなねっと連載記事 #3
- 現在では慢性期の問題をもっと重視して治療を行おうというように変わっています。
急性期の問題も大事なことですが、一番大切なことではないかと思います。
僕が一番最初に考えることは、「急性期のこの幻覚、妄想、興奮という症状をいかに 早く取り去るか」ということではありません。 「日本人の平均寿命は80年程度、この人もあと60年は生きる、 その60年間トータルでのQOL(生活の質)の向上をもたらすためには何をするべきか」 ということです。
急性期の症状を早期に抑えることばかりに目が向いてしまし、どんどん薬が増えていって、 長期予後が悪くなってしまうようではいけないのだと思います。
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急性期治療で一番大切なこと ( No.2 ) |
- 根拠: 「統合失調症は、どこまでわかったか」 菊山裕貴 みんなねっと連載記事 #3
- 一番大切なことは急性期の時から慢性期のことを考えた治療を行うことです。
急性期のことばかりを考えて治療を行い、長期予後が悪くなってしまた患者さんや QOLを上げるのが治療のはずなのに、精神科にかかったらQOLが低下してしまった 患者さんたちがいたように思います。
急性期の症状改善ばかりを考えて薬剤治療をしないように、 急性期の時から慢性期での有用性を見据えた薬剤治療を行うことが大切です。
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脳の体積減少を防ぐ治療 ( No.3 ) |
- 根拠: 「統合失調症は、どこまでわかったか」 菊山裕貴 みんなねっと連載記事 #3
- その治療法に関する研究報告を図1、図2に示します。
この研究では昔ながらのお薬であるセレネースと 新しい抗精神病薬(第2世代)であるジプレキサを服用している 統合失調症患者さんたちの2年間にわたる脳の体積の変化を継続的にみた研究です。
図1からセレネースを飲んでいた人たちは、 やはり脳の体積が2年間で13CC減ってしまったのに対して、 ジプレキサを飲んでいる人たちはこの2年間にわたる脳の進行性の体積減少を防ぐことができたのです。
図2は少し驚くような結果ですが、この研究の中で脳の部位別に見てみると、 側頭葉に関してはジプレキサは体積の減少を防止するだけではなく、むしろ増加させていたのです。
現在では、ジプレキサだけではなく、リスパダール、エビリファイ、セロクエルも適切に使えば 同じ効果をもたらせることがわかってきました。
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統合失調症の治療は長期戦 ( No.4 ) |
- 根拠: 「統合失調症は、どこまでわかったか」 菊山裕貴 みんなねっと連載記事 #3
- 治療を行っていく上で常に考えておかなければならないことは、
「幻聴が取れるか」「妄想がおさまるか」ではなく、 「いかに脳が守れるか」ということになります。
適切な使い方で新薬による治療を行えば 「統合失調症の進行性の脳の体積減少を遅らせる、 あるいは脳の場所によっては体積を増やす」ことが可能なのです。
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