発達障害者は全員が空気を読めないか ( No.1 ) |
- 根拠: 「発達障害は治りますか」神田橋條治 花風社 2200円 p17
- 発達障害は発達する
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空気が読めれば発達障害でないか ( No.2 ) |
- 根拠: 「パスポートは特性理解」 田井みゆき クリエイツかもがわ p13−15
- 発達にまったく偏りのない完全な「定型者」は世の中に一人もいないと考えています
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発達障害とは治療すべき障害で無く、のばすべき特性である ( No.3 ) |
- 根拠: セカンドオピニオン2 p251 シーニュ
- 一次障害:発達障害(薬剤は不要)
二次障害:生きづらさから来る、不登校、虐待、PTSD、解離、強迫、うつ、そう、統合失調様症状、アルコール依存(薬剤は最少) 三次障害:誤診誤処方による薬剤性統合失調様症状(薬剤は減薬)
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発達デコボコによる障害の範囲はどこまで含むか ( No.4 ) |
- 根拠: 「パスポートは特性理解」 田井みゆき クリエイツかもがわ p13−15
- 発達障害とは、以下の広汎性発達障害を指すものとします
1)特定不能の発達障害(PDDNOS) 2)アスペルガー障害(ASP) 3)高機能自閉症(HFPDD) 4)自閉症(PDD)
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診断名を役立てるコツ ( No.5 ) |
- 根拠: 「発達障害は治りますか」神田橋條治 花風社 2200円 p27
- 私は、診断名をつけられて終わりじゃなくて、そこからが始まりでした。
いかに自分の持っている特性を活用して、いいほうに展開していくか。。。
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笠ドクターによる解説 ( No.6 ) |
- 根拠: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/jiheiseisyougai.htm
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/jiheiseisyougai.htm
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三好ドクターによる解説 ( No.7 ) |
- 根拠: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/furassybaku.htm
- http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/furassybaku.htm
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Grace理論 ( No.8 ) |
- 根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P125〜126
- 脳科学者アンソニー・グレースの仮説
発達障害の人たちは、皮質下領域を中心に、ドパミン神経活動の低下が推測されています。 ドパミン神経系の機能低下といっても、神経興奮時の刺激伝達異常ではなく、 基礎分泌レベルでの機能低下です。
ドパミン神経系には、興奮時の一過性のドパミン放出(phasic相)と 安静時の持続的なドパミン放出(tonic相)があります。
ドパミン神経の興奮時の一過性のドパミン放出(phasic相)は 安静時の持続的な少量のドパミン放出(tonic相)によって調節されています。
発達障害ではtonic相のドパミンの濃度が低く、相対的にphasic相のドパミン濃度が高いと 推測されています。これはGrace理論と言われます。
発達障害では、tonic相のドパミンが低下することが最初に起こる障害と推測されています。 tonic相のドパミンは、大きな刺激を伝える準備状態を形成しています。
それに対して、発達障害の人たちのphasic相のドパミンは 相対的に上昇しています。 phasic相のドパミンは興奮や易怒性を媒介します。 治療者との距離感が保てなくなり、ときにパニックになるのは phasic相のドパミンが相対的に過活動になるからです。
またドパミン神経系の機能低下が認められるにもかかわらず、 ドパミン遮断薬である抗精神病薬のごく少量が発達障害の人たちに 一部有効なケースがあります。
その機序として、抗精神病薬がphasic相のドパミンを遮断することで tonic/phasic比の微妙なバランスを改善する場合だけです。 この場合の抗精神病薬にさじ加減はとても難しいだけでなく 逆にバランスを壊せば症状は悪化する可能性があります。 発達障害に抗精神病薬が効果を示しにくい理由です。
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発達障害のこだわりに少量のSSRIが有効なことがある ( No.9 ) |
- 根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P127〜128
- 発達障害の固執や変化への抵抗(こだわり)にSSRIが有効であることがあります。
SSRIの主たる薬理作用は、細胞間隙に放出されたセロトニンの再吸収を阻害し、 細胞間隙のセロトニン濃度を上昇させることです。 つまり、セロトニンを増やすことで抗うつ効果を示し、精神症状を改善する薬です。
固執やこだわりが、単なるセロトニン欠乏による症状であれば、 SSRIが不足したセロトニンを増やし効果を示すでしょう。 それも症状が強ければSSRIを増量すれば、効果が認められるという用量依存的な臨床効果が認められるはずです。
しかし、固執やこだわりへのSSRIの効果は、抗うつ効果のように用量依存的ではなく、 比較的少量での使用が効果を示すことが多いのです。 SSRIがなぜ、固執やこだわりに有効であるのか、その正確な機序はわかっていません。
固執やこだわりは、無意識であれ行為に対する動機付けが異常に強い状態と言えます。 行為を行う動機が顕在化された状態です。 動機の顕在化はKapurによればサリエンスと表現され、 それを介在する神経伝達物質はドパミンだと考えられています。 Kapurのサリエンス理論は、統合失調症の陽性症状を説明するために提唱されたものです。
ところで、固執やこだわりの一部は、その行為に対して異常なサリエンスが形成された状態と考えれば、 ドパミンの伝達がそこだけ過剰になっていると推測できます。 この状態にSSRIでセロトニンを上昇させると、セロトニンはドパミンの放出を抑制しますので、 ドパミンの低下が起こり異常なサリエンスが軽減され、固執が軽減される可能性があります。
ただし、発達障害が示す固執でのドパミンの亢進は、セロトニンとのバランスでの亢進にすぎず、 統合失調症でのドパミンの過活動とは明らかに異なります。 発達障害でのSSRIの効果は、少量のセロトニンの増加が、 セロトニン、ドパミン神経系のバランスを改善するためではないかと考えられます。
ということは、うつ病などで使用される量のSSRIを使用するとセロトニンが増えすぎ、 セロトニン・ドパミン神経系のバランスが再び崩れ、臨床効果を示さないばかりか、 SSRIの副作用だけが前面に出るはずです。
SSRIの副作用としては、初期の消化器症状だけでなく、 セロトニンが増えることでのイライラなどの精神症状、 減量中止するときの離脱症状などに注意しなければなりません。 また、まれですがセロトニン症候群の危険性もあります。 SSRIはチトクロームP450(CYP)を介して、抗精神病薬と競合し、 抗精神病薬の血中濃度を上昇させる可能性もあります。 薬物相互作用の問題も考慮しなければなりません。
発達障害は抗精神病薬が効果を示しにくいと考えられます。 それは明確な神経伝達物質の異常というより、神経伝達物質の微妙なバランスが問題だからかもしれません。
効果がある抗精神病薬であっても、それが長続きするとは限りません。 バランスが逆に崩れれば精神症状を惹起する可能性があります。 発達障害の精神症状に対しては抗精神病薬がかえって、害を及ぼす可能性があります。
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