デパケンで錯乱に陥った例に2例お会いしました ( No.1 ) |
- 根拠: http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1139004F1029_1_17/
- 慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1. 肝機能障害又はその既往歴のある患者[肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。]
2. 薬物過敏症の既往歴のある患者 -------------------------------
3. 自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者[症状が悪化するおそれがある。]
4. 以下のような尿素サイクル異常症が疑われる患者[重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。]
(1) 原因不明の脳症若しくは原因不明の昏睡の既往のある患者
(2) 尿素サイクル異常症又は原因不明の乳児死亡の家族歴のある患者
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デパケンが駄目なケースではリーマスか ( No.6 ) |
- 根拠: 「うつと気分障害」 幻冬舎文庫182 岡田尊司 P219ー210
- 比較的低めの血中濃度で、補助的に炭酸リチウムを用いる事が多くなっている。
他の気分安定化薬と併用したり、非定型抗精神病薬や抗うつ薬と組み合わせることで、 単剤投与では得られない効果を引き出すとともに、重大な副作用を避けることができるというメリットがある。 。。 それ以外にも、炭酸リチウムには、Gタンパクを介して、核での神経成長因子の産生を増加させ、神経細胞の新生を促進する効果があるとされる。
炭酸リチウムには、気分安定化薬としての作用以外に、もう一つ不思議な作用が知られている。 それは、モノアミン系の活動を賦活し、抗うつ薬の効果を増強する効果である。 抗うつ薬を投与しただけでは、効果があまり得られない難治性のケースで、炭酸リチウムを併用すると、改善が見られる事がある。
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気分安定化薬に関する笠ドクター解説 ( No.7 ) |
- 根拠: http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/5kibunnhenntyouzai.htm
- http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/4511/5kibunnhenntyouzai.htm
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漢方薬の副作用 ( No.8 ) |
- 根拠: 精神疾患・発達障害に効く漢方薬―「続・精神科セカンドオピニオン」の実践から 内海 聡 シーニュ P13、P14
- もともと漢方薬に副作用という概念はなかった。
「からだに合わない薬を服用した場合にのみ不都合(「誤治」と呼ぶ)が 起こるのであって、患者に合う(からだが必要としている)薬であれば副作用は出ない」 と考えていたのである。
この考え方を盲信することは危険であり、全面的に採用するわけにはいかないが、 部分的に正しいところもある。 つまり、患者の訴えや体質を考慮して本人に合う薬を処方すれば、副作用を減らすことは できるのである。
漢方薬の副作用は、内科などで処方される一般薬と比べても少ないものの、ゼロではない。 服用後に何か不都合な症状が現れていないか、現れていたとして本当に服用後に生じた症状なのか、 評価することが重要である。
甘草(かんぞう)・・・むくみ、血圧の上昇、 甘草は鎮痛・消炎効果があることから多くの漢方薬に 含まれているため、注意が必要である。
大黄(だいおう)・・・腹痛、下痢、食欲不振 体力がない人には副作用が出やすい。
柴胡(さいこ)黄今(おうごん)・・・間質性肺炎の原因になりうるとされている インターフェロン製剤(ウイルス性肝炎などの治療薬)との併用は禁忌である。
地黄(じおう)・・・胃もたれ感、胃が弱い人は服用を避ける。 また、地黄が含まれている漢方薬は食後に服用すること。
麻黄(まおう)・・・食欲不振、多汗、不眠、動悸 重症の心臓病をもつ人の場合、 悪化するおそれがあるので注意が必要である。
附子(ぶし)・・・熱感、ほてり、発汗、しびれ 代謝を上げる生薬であるから元気な人には禁忌である。
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身体合併症に関するQ&A ( No.9 ) |
- 根拠: コンボお知らせメール便第2便「記者会見配布資料」 長嶺敬彦
- 身体合併症に関するQ&A
回答 長嶺敬彦(吉南病院内科部長)
本人や家族が副作用や身体合併症を知ることがどれだけ大切かをお知らせするために 多剤大量処方へ警鐘を鳴らす記者会見で配布した「身体合併症に関するQ&A」をお配りします。
■副作用と合併症との違いは何でしょうか?
【回答】これは包含関係の問題です。 身体合併症のほうが広い概念で、副作用はその中の大半を占めると思います。 身体合併症では薬によるものではない、精神疾患以外の身体疾患を含みます。 例えば双極性障害では糖尿病に罹患しやすい。 もちろん薬も関与しますが、薬の投与を受けていない双極性障害でも糖尿病の罹患率が高いのです。 遺伝的なリンクが考えられています。 副作用は薬と身体疾患が因果関係にあるものです。
■長嶺先生は、検査は「6か月に1回の頻度が目安」と述べていますが、その理由をお教えください。
【回答】疾患のなりやすさ(at risk)で異なりますが、1年では不可逆的な変化を起こすことがあるからです。 代謝異常など可逆的な内に見つけることが必要で、出来れば6ヶ月くらいで検査をすることを勧めています。 また体重が増えたり、何らかの症状があるときは臨時で検査をすることが大切です。
■ある統計によると、約56%の患者さんが、数ヶ月おきから6か月おき程度の頻度で血液検査をうけています。 しかし、コンボ読者に行った別のアンケートでは、血液検査を精神科ではなく、 内科で受けている人が多く、また、精神科医から血液検査をしましょう、と言われるのではなく、 自分で希望して行ってもらう場合も多くあるようです。
【回答】その通りです。精神科で受けることより内科での検査が多いです。 一つには臓器別の医学の弊害でしょう。
■長嶺先生の印象では血液検査の必要性を認識している精神科医は多いでしょうか? 少ないでしょうか?
【回答】少ないと思います。 身体疾患に対する認識が少ないのは、身体疾患に関する知識の不足があります。 知の枠組みが影響します。 枠組みを持っている医師は検査を思いつきますが、関心がない(枠組みがない)医師は検査は当然思いつきませんよね。
■精神科医にとって、知の枠組みが違うとすると、入院している患者さんの身体合併症などのチェックはされにくい状況にあるのではないでしょうか? また、そうした場合は、身体合併症が見過ごされたり、治療が遅れたりする状況が生まれるのではないでしょうか?
【回答】その通りです。 様々な習慣(暗黙の了解)が疾患の形成や発見に大きな影響を与えます。 そのことに精神科医自身が一番気がつきにくいのです。 それをこのたび出版した「抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE」(新興医学出版・2010)の中で、無意識も含めて論述しました。
■なぜ、身体合併症や突然死の問題は、あまり問題になってこなかったのでしょうか。
【回答】精神科病院が収容施設である側面が強かったからでしょう。 病気を治すという意識があれば、突然死は大きな問題です。 家族も病院に預かってもらっているという感覚がある場合、突然死しても問題視しませんから。
■精神科医は、あまり合併症の知識はもっていないものなのでしょうか。
【回答】人によると思いますが、身体疾患の知識の前に身体の疾患に対しての基本的な知識や感覚が不足している医師もいますし、 医学的に正しい知識を有している精神科医もいますが、身体疾患を毛嫌いする精神科医も多いです。
■患者が身体合併症の知識を持ち、定期的な検査を受けることで、身体合併症や突然死の問題は減らせるとお考えでしょうか?
【回答】効果があると思います。 知の枠組みを持つことで、対応が異なります。 そういう意味でも、今回の本での啓蒙活動は大切です。
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副作用は「質」が問題なのか、「量」が問題なのか ( No.10 ) |
- 根拠: 抗精神病薬をシンプルに使いこなすためのEXERCISE 長嶺 敬彦 新興医学出版社 P13〜14
- 抗精神病薬の副作用を考えるとき、それは抗精神病薬の「質」が問題なのか、
あるいは「量」が問題なのかということを大雑把でいいから考えるとよいでしょう。 なぜなら、「質」が問題なら、抗精神病薬の種類を変更すること、 つまりスイッチングを検討すべきです。
また、「量」が問題なら丁寧な減薬を考えるべきで、 次にとるべきストラテジーが異なるからです。
しかし、「質」と「量」の問題は臨床の場では厳密にはわかりにくいです。 たとえば多剤併用では、投与剤数が増えるとCP換算量も増えます。 多剤併用下では、抗精神病薬の全体の「量」が問題なのか、 組み合わせや抗精神病薬の「質」が問題なのか見分けがつきにくくなります。
こういうときこそ、精神薬理学の知識が役に立ちます。 抗精神病薬の薬理作用から、「質」と「量」の問題は大まかに分類できます。
T薬理作用によるもの
@主にドパミンD2受容体遮断によるもの⇒量
錐体外路症状 悪性症候群 高プロラクチン血症 誤嚥性肺炎 不整脈
Aその他の受容体(5HT2C、H1、M1など)遮断によるもの⇒質
糖代謝異常 脂質代謝異常 高血圧 イレウス 肺動脈血栓寒栓症
U 薬理作用では説明できないもの
@薬物代謝、アレルギー⇒質
肝障害 腎障害 過敏性症候群(DIHS)
A薬全体(代謝産物や賦形剤を含む)の物理的作用⇒量
尿の沈殿物形成(尿路結石) 胆道系の結石
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