統合失調症の診断基準 ( No.1 ) |
- 根拠: 「発達障害は治りますか」神田橋條治 花風社 2200円 88−89ページ
- 統合失調症という概念は本質的にくずかごですから、そこから異質な物が取り出されて来て、 今は発達障害という物が「これはちょっと違うみたいだ」と取り出されているんですね。 それで発達障害も統合失調症みたいなところがあるじゃないかという議論がおきる。 これは近い将来本質的に分けられるでしょう。そうするとまた、未開の地としての統合失調症が残るんです。 だから、ちゃんとした精神科医は、「統合失調症群」と捉えています。 本質的には群です。でも、そういう本質論で考えない人は、症状が同じならスキゾフレニアと診断するでしょう。 それがDSMによる診断です。状態像だけで見るか本質を想定して見るかですね。 。。。。 一時的には同じに見えたとしても、どう区別するかです。 ただし、今のDSMでやるとおかしいです。区別がつきにくいです。 この人はスキゾフレニアだったけど、近頃は症状が変わって、クライテリアでやると発達障害だとか、 そういうことが起きてくる。でまた、今度は大うつになったり、状態像で分けるとそうなるね。 どうも診断法のほうがメチャクチャ。
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外傷性(PTSD性)の幻聴が多い ( No.2 ) |
- 根拠: 出典 「最終講義 分裂病私見」中井久夫 みすず書房 P28
- 私なりの鑑別点を表に挙げておきます。 このタイプの幻聴が分裂病患者にも起こることがあります。
二つが重なっていることもあります。 分裂病性の幻聴がとうに消えたのに、外傷性の幻聴だけが 残って、これをいつまでも訴える場合があります。 回復の形も分裂病性幻聴は「消え」ますが、PTSD性幻聴は「間遠」になるという 違いがあります。 こちらは、分裂病性幻聴よりも薬が効きにくいので、 時には大量の薬がむなしく出されていることがあります。 「消え」るのではなく、「間遠になる」のが回復で、 よい体験を重ねることによって、その重味が減るということを 患者に告げねばなりません。
外傷性(PTSD性)の幻聴 (1)過去のある時点で現実に聴いた声が現在頭の中に聞こえてくる。 (2)いつまでもなまなましく、音調や語られた状況が同時に再生される。 (3)夢の中にも出てくる (4)持続期間は、いなづま的 (5)はっきりといきいきと言語化できる(ドラマ的) (6)自分が呼びだそうとするとできる場合がおおい。 (7)薬物の効果が薄い (8)消失するというより間遠になり、衝迫が薄れるが、長年の後にも再生できる。
分裂病性障害の幻聴 (1)現在誰かが語っている声(多くは外部)が直接頭の中に侵入して語りかけてくる。 (2)次第に音調は平板になる。状況は通常具体的に語られず、語る手段のほうが問題とされる。 (3)通常は夢の中に出てこない。出てくれば、消失が近い。 (4)持続的と考えられる。 (5)うまく言語化できない。できても反復、単調、非現実的な説明 (6)外傷性幻聴の(6)のような能動性は通常ない。 (7)薬物の効果が通常かなりある。 (8)全く消失しうる
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