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投薬の前に。相手を見守り傾聴する
根拠: 精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本 p24〜118 オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ p191〜


p24
WHO(世界保健機関)の委嘱を受けた英国の著名精神科医デービッド・クラークが
日本政府に勧告をした。
---略---
「施設収容が大変進んでおり、精神保健全体は後退している」
「精神病院の長期在院患者は増える一方で、地域精神保健活動は十分に成長していない」

p37
バザーリア(※)の考え方はこうだった。
「鉄格子や鉄の扉の奥に押し込めることを正当化するような精神状態など、本来ないのだ。
精神病者の、ときおりの暴力は、結果である。施設の中での抑圧で引き起こされた人間としての
反応である。つまり、それは精神病院が引き起こす病気。精神病院などやめて人間的存在たりうる
温かい状態に置くことができれば、精神病者の暴力などなくなるのだ」

(※精神科医フランコ・バザーリア。)

p58
イタリアでは、一九七八年に精神病院への入院を禁止する法律ができました。

p117〜118

診断と投薬は脇役

目の前に現れた利用者は、「病人」ではなく、「苦悩する人」「生活に困窮をきたした人」
とみる。だから病気に大きなスポットを当てずに、患者の危機的状況を招いた社会的な問題、
経済的な問題、人間関係の問題、の解決に主眼をおく。

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Re: 投薬の前に。相手を見守り傾聴する ( No.1 )
根拠: 精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本 p24〜118 オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ p191〜

p191
イエナプラン教育の二〇の原則

A.人について
1.各人はユニークである。つまり、たった一つの存在であり、すべての子どもとすべての大人はそれぞれ、
かけがえのない価値を持っている。

2.各人はその人がその人らしく発達する権利を持っている。その人らしい発達とは、次のようなものによって特徴づけられる。
すなわち、独立性、自分で(批判的に)判断する意識を持つこと、創造性、社会的正義へ向かう姿勢。
この権利は、人種・国籍・性別・性的傾向・社会環境・宗教・信条または障害の有無によって左右されるものでは一切ない。

3.各人はその人がその人らしく発達するために次のようなものと独自の関係を持っている。すなわち、ほかの人々、
自然や文化について感得できる現実、および感覚によっては経験できない現実と。

4.各人は常に一人の人格を持った人間として認められ、可能な限りそのように待遇され、話しかけられるべきである。

5.各人は文化の担い手、また、文化の改革者として認められ、可能な限りそのように待遇され、話しかけられるべきである。
Re: 投薬の前に。相手を見守り傾聴する ( No.2 )
根拠: 精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本 p24〜118 オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ p191〜

心的外傷と回復 ジュディス・L・ハーマン 中井久夫訳 より

p205
回復のための第一原則はその後を生きる者の中に力(パワー)を与えることにある。
その後を生きる者自身が自分の回復の主体であり判定者でなければならない。
その人以外の人間は、助言をし、支持し、そばにいて、立会い、手を添え、助け、温かい感情を向け、
ケアをすることはできるが、治療(キュア)するのはその人である。

p192〜193
児童期虐待の被害経験者はしばしば種々の診断名を積み重ねられてからはじめてその下に
複雑性外傷後症候群という問題があることに気づかれる始末である。彼女ら彼らは
非常にマイナスの含みを持つ診断名を与えられる確率が高い。

p193
“境界”という用語は非常な偏見がからまってしまったので全面的に廃棄しなければならない、
それはちょうどその前任者が“ヒステリー”を廃棄しなければならなかったのと同じ話だ

p206
当事者に対して希望を尋ね、安全と両立する範囲内で選択肢をできるだけたくさん出すべきである。
外傷を受けた人に自己統御権を取り戻させるというこの原則は、これまでにも広く認識されてきた。
エイブラム・カーディナーは治療者の役割を定義して、それは患者のアシスタント(助手、介助者、
立ち会う物)であって、その目標は「患者が内発的にやろうとしている仕事の感性を助けること」であり
「自己統御の再生という基本要素を回復すること」にある。

マーティン・シモンズは、治療原則を「犠牲者に力を取り戻させ、周囲からの孤立を弱め、患者の選択の
範囲を広げて孤立無援感を減らし、患者への接近に際して支配のダイナミックスを抑えること」と述べている。

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